会社情報

代表からのご挨拶

社長就任にあたって

なぜこのタイミングで社長に就任したのか

 経営統合によりKADOKAWA・DWANGOが発足した当時は、私よりも経営の実績がある佐藤が社長に適任でした。私はドワンゴでも長年会長を務めていましたが、経営全般を見るというよりは、そのときどきで重要だと判断したプロジェクトに専念するというやりかたをとっていました。KADOKAWA・DWANGOでも基本スタンスは変わらないほうが良いと思ったので、統合会社設立時は会長をやらせていただきました。
 ではなぜ今、社長に就任するのか。理由は二つあります。KADOKAWAとドワンゴの経営統合という大きなテーマからは、やはり、いろいろな問題が生じます。それらを短期間で解決するためには、やはり自分が社長になったほうがよいと考えたことがひとつです。
 また、私はKADOKAWA・DWANGOの未来を楽観視していますが、どうも株式市場からはそうは思われていないようです。私のなかではいろいろとビジネスの構想はあるのですが、昔から私のビジョンは他人に理解され難いことが多く、かつてドワンゴで新規事業として立ち上げた着メロもニコニコ動画も、社内ですら理解を得るのには大変に時間がかかりました。まして社外であればなおさらでしょう。そこで、KADOKAWA・DWANGOの未来を、私自身の口から皆さまにご説明しようと思った次第です。

現在までの経営統合の成果

 KADOKAWAについては、出版業界は古い業界であり、古い慣習は長い間培われた合理性を持ったものではありますが、ネット時代には整合しない部分があり、これを解決する必要があります。しかし、業界内にいるとそのきっかけをつかむことは難しいものです。KADOKAWAは業界内でいち早くアマゾンとの直取引を開始したり、自前の流通センターを構想したり、構造改革を行なったり、新しい時代の出版社となるべく取り組んでいますが、これは統合したからこそ着手できた成果だと思っています。
 ドワンゴについては、ゲーム実況配信を強化できたことが統合の最大の成果でしょう。今、ニコニコは日本のライブストリーミングで最大の存在感を示し、基本的には安泰な状況ですが、リスクはゲームの生放送配信であると1年前から認識していました。昨今、ゲーム実況配信の流れは世界から日本に来たかのように報道されていますが、実際にはゲーム実況配信のブームは日本で最初に起こった現象です。ニコニコのサービス開始2年目からゲーム関連の動画配信はすでにデータ量の50%を占めていました。それが2-3年遅れで海外に波及し、Twitchができ、YouTubeもゲーム実況配信を始めたのです。これらが日本に逆上陸してきた時にどう対抗するかがドワンゴの大きなテーマだったのですが、この半年間で日本市場におけるニコニコの主導権は揺るぎないものとなりました。ゲーム雑誌市場で独占的シェアを持つKADOKAWAと統合し、闘会議が開催され、非常に大きな成果をあげたからです。
 KADOKAWAとの統合の結果、様々なゲーム会社との関係は非常に強化され、来年の闘会議に向けて、今年はeスポーツやゲーム実況がニコニコを中心に大きく盛り上がることでしょう。この分野においてはユーザー層の拡大が大いに期待できる状況です。

統合効果による新規事業

 まずはゲーム情報ポータルです。インターネットが一般化して20年以上が経ち、各ジャンルのポータルでメジャープレイヤーが出ましたが、ゲーム情報のポータルは確立していません。これをKADOKAWAとドワンゴで確立します。ファミ通と電撃は歴史あるブランドですが、雑誌ビジネスは収益性の確保が難しくなっており、ネットでゲームポータルを取っていく必要があります。この事業は、KADOKAWAの各種雑誌のネット化の試金石になるでしょう。
 次に教育事業です。ネットによる教育事業はIT企業含め各社が参入を試みるレッドオーシャンですが、まだ決定的な動きはありません。私たちらしく他社と競合しない形で教育事業に参入し、大きな事業の柱に育てます。他社のように大学授業をネット配信するなどではなく、センター試験実況、入学式や卒業式、文化祭など教育周辺の情報を扱い、地道に実績を積んでいるところです。これは非常に重要なプロセスで、ニコニコ生放送も芸能事務所にひとつずつ営業をかけて実績を積んだ結果、ここまで一般化しました。

今後1年間のテーマ

 まずは、統合を機にいろいろな問題を解決したいと思っています。例えば、ニコニコ動画の画質やサービスが海外サービスに比べ劣っていると言われていますが、解決できていませんでした。以前から抜本的な修正を進めてきましたが、この1年間で改善させることをお約束します。
 そして、先述したような新規事業を立ち上げていきます。
 最後に、2015年10月1日から社名がカドカワに変わりますが、カドカワをIT企業として世の中に認知させていきます。最先端のエンジニアリング研究、技術開発、ハードウェアのエンジニアと人工知能の研究者の募集、と世界に類のない研究やサービスを発信していきます。
 情報発信も頑張ってまいりますので、少し長い目で見守っていただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

カドカワ株式会社 代表取締役社長 川上 量生

KADOKAWAdwango